ティーはいかが?

買付けで滞在したところは、イギリス チェスター州のサンドバッチというところでした。周辺には日本人にもお馴染みな町のストーク オン トレントをはじめ、陶磁器で有名な町が点在する地域でした。昔から陶器がつくられていた地域なので、焼き物の出会いも多くありました。

ティーポットを多く仕入れた買い付けでしたが、日本ではあまり馴染みがないかもしれないとおもったのが、ジャックフィールド ポテリー(jackfield pottery)です。

もともと18世紀にシュロップ州のジャックフィールドで作られはじめられ、周辺に広がったようです。特徴は黒い釉薬に金彩などで模様がつけられていました。

                                    メトロポリタン博物館蔵 c.1760-1770

19世紀のビクトリアン時代になると、金彩に加えエナメルなどの装飾も加えられたものが登場し、贈り物などやおみやげなどでもとめられたそうです。

jackfeild pottery

このポテリーはいろいろな呼び方があるようですが、その1つがジャパンドウェアで、漆器からきているようです。余談ですが、漆への羨望も漆がイギリスに入る17世紀半ば以降に始まり、名誉革命が起こる1688年には、漆技法の専門書が出版されています。漆技法といっても、模倣という点での書です。その書は現代でも出版されていましたが、日本の研究者さんが翻訳したものが里文出版さんから出版されています。

ビクトリア女王が1861年に夫であるアルバートが亡くなり喪に服してから黒いものを使用したのも、黒いこれらのアイテムが流行した一因とも。しかしこの時期はヨーロッパでもパピエマシェのアイテムや家具もみられるので、黒い地に金や多彩な配色で飾られたものが家庭のなかでも多く存在していたと思います。

写真のものはどちらもエナメルで装飾されていますが、ドットが多用されています。帯状にまとめられていたり、全体に散りばめられたり、様々なデザインがありますが、これを草間彌生さんがドットをつけるとどうなるのかなって思ったりしてました。

14×13cmと大きめな容量なので、1度で多くのカップに注げそうですね。