鏡よ鏡、鏡さん。

ある種携帯の化粧箱にもなる、箱状の鏡台。
日本のもので、鏡のしまわれ方から鏡台になる様が気に入りもとめた一品です。

引き出しの中には櫛と髪飾りが入ってました。櫛は漆櫛。飾りは透かし彫りに真珠を模したものが装飾されたもの。
和装と洋装を思わせるものが一つ同じ場所に。

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持ち主はどちらも着こなすハイカラな大正女子だったんだろうか?と妄想にふけてると、ふと鏡から泉鏡花へと矛先がかわってました。作中の着物の描写中になにか櫛のものあるかと調べてみた文中では、櫛差す情景がなかなかイメージできず仕舞い。ただ、色ということを書いた随筆中に、櫛・簪のことが。

『また同じ鼈甲を差して見ても、差手によって照が出ない。其の人の品なり、顔なりが大に与かって力あるのである。
 すべての色の取り合わせなり、それから、櫛なり簪なり、ともに其の人の使いこなしによって、それぞれの特色を発揮するものである。』 「白い下地」からの抜粋 ~ 泉 鏡花

抜粋した文では色のことはよく伝わらないので読んでいただきたいのですが、細やかな表現でかつ魅せる小間物を選び、髪を梳かし、差す姿をこの小さな鏡がずっと見てきたのかな等々、いつも古いものを見ては起こす妄想ループにはまっていました。

2014.02.16 Updated |