陰影

店には強い西陽が差し込みます。
大きな窓だけに、春先からよしずで陽をさえぎり、上下ある上窓だけ開けているのですが、ふとみると窓からの陽が壁に。
陽に照らされた家具の木と鉄の質感と陰影の違いがはっきり浮き出ていました。
その光と影という両極の違いと木と鉄という、同様に両極にあるモノが創出されたその形は、影としては同質のものの様に壁に写っています。

 

違うモノとしても、形にしたのは人間です。そういう表現を例え機械的に作業してできたものでも、
その表面には、機械ではでない少し歪んだアンバランスさを感じます。
それがまたいい味という人もいれば、気になる人もいるでしょう。でもそんな曖昧さに自分は惹かれます。
どちらが好きと聞かれれば 木 と答えますが、どちらも人を介したモノに通じる魅力にも惹かれます。

今、この写真に写っている家具の一つのパーツがアンバランスでさえ、このラインにいたるまで、どれだけの人を介したんだろう。
そしてどういう意図でこの全体のデザインの中でここを張り出したり凹ませたるに到ったんだろう。

こうして見ると世の中にあるものは人の意図でいっぱいですね。
沢山の意図されたものから選択したものを身近なものに。
こういう循環があるからこそ、さらにその意図を昇華させようとして、いいものが生み出されるんだろうな。